昨今のデニムブームにも追い風を受け、新たにジーンズを手に入れた人は少なくないのではないのでしょうか?作業着として生まれたデニムアイテムは、トレンドの着こなしのファッションアイテムとして組み入れられるだけでなく、色落ちによる経年変化も楽しめるアイテムとして重宝されています。
そんなデニムですが、どうにも難しく考えてしまうのは、洗濯機での洗い方。常に洗濯をした方がいいと言われたり、全く洗濯しない方がいいと勧められたりと困惑してしまいがちです。この記事では、ジーンズソムリエの資格を持つ筆者が、デニムの洗濯機での洗い方をご紹介します。別段難しくない、簡単なポイントを簡潔にご紹介しますので、ぜひとも試してみてください。
この記事の目次
デニムは洗うべき?
果たしてそもそもデニムは洗濯をすべきなのでしょうか?答えは、洗濯をすべきです。その他の服と同じように毎回のように洗う必要はありませんが、なによりも不潔です。
皮脂は蛋白質で出来ており、長期間を洗わないでいると生地がどんどん傷んでしまい、なおかつ部分的に不思議な色落ちの発生の原因にもなります。なによりも、汗などで汚れたデニムは悪臭を発してしまいます。長く着るためにも、清潔感を保つためにも、定期的に洗濯をすべきです。
基本的に洗うタイミングはいつというものはありません。基本的には洗うタイミングは好きなタイミングで結構です。汗を多くかいてしまった時や、衣替えのタイミングなど定期的に洗濯をするようにすると良いでしょう。一定期間着用して、洗った後の色落ちを見ると非常に感慨深いものですよ。
ジーンズソムリエが教えるデニムを洗濯機で洗う5つのポイント
ポイント1:形を崩さないために
まずは軽くはたいて生地に付着した埃や簡単な汚れを落としましょう。ロールアップをした部分のその隙間にはよく埃が詰まっていたりします。またポケットの中にティッシュやレシートなんかが入っていた日には本当に悲惨な結果になりかねませんので、しっかり確認しましょう。
ある程度汚れを落とせたら、ボタン・ジップを閉じ、裏返しにして三つ折りなどに綺麗に畳み、ネットに入れて洗濯機に入れましょう。こうすることによって洗剤による極端な色落ちを防止することができます。
また、ボタン・ジップを閉じて綺麗に畳んだ状態で洗う事によって、デニムの型崩れを防止します。最近流行のダメージジーンズには、ダメージが変に広がる事を防ぐ効果もあります。こういった一手間が重要となります。
ポイント2:洗剤は漂泊・蛍光剤の入っていないものを選ぶ
ここで少し悩ましいのが、洗剤の有無。「色落ちさせたくないから水洗いで。」と考える人も少なくありませんが、水洗いでは完全には綺麗になりません。やはり洗剤を使うべきですが、注意したいのは、漂白剤や蛍光剤の入っていない洗剤を選ぶことです。
家庭用洗剤では中性洗剤・おしゃれ着洗い用の洗剤で十分です。ジーンズショップなどの専門店や通販で販売されるジーンズ専用洗剤を使う事に越したことはありませんが、先述した中性洗剤で問題ありません。
漂白剤などが入った洗剤は付きにくく離れやすい特性を持つインディゴ染料をしっかりと落としてしまいます。予想だにしていない色落ちは避けたい所です。また、当たり前ですが、色移りする可能性が高いので、その他の衣類と一緒に洗濯をしないよう、デニム単体で洗うようにしましょう。
ポイント3:洗濯機のモードは?
先ほど軽く述べたように、デニムのインディゴ染料は非常に色落ちのしやすいものです。長時間の洗濯は予想外の色落ちを招く事にもなりません。たいていの洗濯機についている「時短モード」を選択肢、短時間で洗う事を心掛けましょう。
手洗いモードなどもありますが、デニム生地はそもそも頑丈で、ちょっとやそっとで破れるようなことはないですし、先述した裏返して洗う事で不自然な色落ちを防げます。
簡単に破れたりするデニムは、洗い方というよりデニムそのものに問題があります。ハイブランドのデニムはこの辺が結構しっかり作られていたりします。話が少し逸れましたが、短時間で洗い、汚れを落とすようにしていきましょう。
ポイント4:形は乾く前に整える
洗い終わったデニムは濡れている状態でしっかりと形を整えましょう。間違っても洗濯機の中で濡れた状態で長時間放置するようなことがないように気をつけましょう。
まずは洗濯を終えたデニムを干す前に形を整えます。ウエスト部分や膝の部分を中心に、不自然なしわが出来ている所を左右にパンパンッ!と引っ張り、形を整えます。
デニムは最近によくある形状記憶のしわの残りにくい素材を使用していません。そのため、干す前に改めて形をしっかり整えておくことによって、綺麗なシルエットを維持することができます。サッと洗ってサッと干す、その前に一手間加えましょう。
ポイント5:風通しの良い日陰、そして一工夫
洗い終わり、形も整え終わったデニムを早速干します。最初に裏返したデニムはそのままの状態で干します。こうすることによって日焼けを防止することができます。洗ったデニムを干す場所は、風通しの良い日陰で干すことをおすすめします。直射日光の当たる場所に干すと、その部分が極端に日焼けしてしまう可能性があります。
ボトム用のランドリーハンガーも今や珍しくなく、ネット通販でも安価で入手可能なので、ぜひ準備をしておきましょう。また、筒状にした形でハンガーで干すか、平らな台の上で平置きにして乾かすことも重要です。よくある通常のハンガーでウエスト部分に引っかかるように干すと、その部分が伸びてしまうこともあります。ストレッチ素材入りのデニムだと100%伸びてしまうので注意しましょう。
また、基本的には屋外の風通しの良い場所で乾かすことが大切です。屋内だと乾くまで時間が掛ってしまい、生乾きによる臭いの発生の原因になります。ちょっとした一工夫として、洗いによる縮みを押さえる方法として、上下を反対にひっくり返して、裾の部分をクリップで留めて干すという方法があります。これも時と状況に応じてしっかりと活用しましょう。
どうしても洗濯がめんどくさい方へ
ここまでデニムを洗濯機で正しく洗う方法を述べてきましたが、どうしても洗濯がめんどくさい、もしくは洗いたくないという固い信念をお持ちの方もいるでしょう。そんな方には穿いた後のデニムにスプレー型の殺菌・消臭効果のあるものを吹きかけることで応急処置をとることができます。
リセッシュやファブリーズなどが特に有名ですね。もちろん、本来は定期的に洗濯することで生地を長持ちさせ、適切な色落ちによる経年変化を楽しむことができます。洗う事に越したことはありませんが、ぜひこの方法も試してください。
また、ヴィンテージデニムのレプリカなどで人気の生デニムは、洗濯をすると生デニムらしい風合いはなくなってしまうので、ファーストウォッシュまで少々の汚れを気にせずに、じっくりと長期間履き込んでから洗うのも良いと思います。
デニムは洗濯機でしっかりお手入れを
デニムは経年変化を楽しむことのできるすばらしいファッションアイテムです。近年のトレンドもあり、デニムにこだわる人もとても多くなってきました。また、最近のトレンドではダメージジーンズの人気が特に顕著です。
そんなお気に入りのデニムだからこそ長持ちさせたいものです。デニムは永遠に穿いたり着たりすることのできるものではありません。なので、常日頃のお手入れが、生地長持ちのヒントになります。
最も身近なお手入れの方法として、洗濯機で洗うことはとても大切です。大きなポイントは、丁寧に整え、洗剤に気をつけ、ササッと洗って、ササッと干すという非常にシンプルなものです。先述した5つのポイントを押さえ、洗濯機を使ってあなたの特別なデニムを丁寧に育ててみてはいかがでしょうか?