世の中には「一人が楽」「ひとりの方が好き」という人たちがいます。
しかし、本当にそう思っているのか、強がりでそういっているのかなど、それがどこまで本音なのかは、その人の心理に深く立ち入らないとわからないことでもあります。
そこでここでは、一般に「一人が楽」だと思っている人がどの程度存在して、そしてどのような特徴と心理があるのかという点と、楽だからといって一人でいることを選択したために発生しているメリットとデメリットについて解説します。
この記事の目次
一人が楽だという人はどのくらい存在するのか
まず世の中にはどの程度「一人が楽」だと思っている人がいるのでしょうか。実はそのようなことにピンポイントで焦点を当てた調査はなく、推測でその割合を判断するしかありません。
その中のひとつに、「飲食店やレジャー施設を1人で利用することに抵抗感があるかどうか」ということを調べたデータがありますので、ここから推計してみます。
「一人が楽」だと思っている人は、だいたい3割?
まず「飲食店・レジャー施設をひとりで利用することの抵抗感があるか」という質問に対して、「あまりない」と答えた人は、27.7%でした。
ただし、飲食店やレジャー施設と言っても、ラーメン屋やファーストフード、あるいはカフェなどは大半のお客さんが1人で過ごしていますので、それも含めた統計だとすると、これよりも「一人が楽」という人の割合は低そうです。
そこで、施設別に「一人で利用することに抵抗がない」という割合を見てみます。
施設別に見た場合「一人が楽」な人は15~20%?
以下に主なものを列挙してみます。
- コーヒーチェーン店 50.9%
- ラーメン屋 35.0%
- 映画館 31.6%
- ファミリーレストラン 22.9%
- 国内旅行 16.6%
- カラオケ 5.5%
以上から見て、コーヒーチェーン店やラーメン店、あるいは映画館くらいまではある意味「一人が当たり前」の施設なので、除外してよいでしょう。
これに対して、ファミリーレストラン、国内旅行に1人で行ったり、1人でしたりするのは、かなり「一人が楽」だと思っている可能性が高いと言えます。ましてやカラオケは「ヒトカラ」という言葉も流行りましたが、完全に「一人が楽」タイプの人でしょう。
ここから推計すると、どうやら「一人が楽」と考えている人は、15~20%程度存在すると言えそうです。つまり、5人に1人くらいの割合です。
もちろん男性、女性によっても、あるいは年齢によってもその割合は変わる可能性はありますが、感覚的にはあながち外れてはいないと思われます。
一人が楽だという人の特徴。なぜ楽だと思うのか。何を考えているのか
では、そういう5人の1人の人が、なぜ「一人が楽」だと思っているのか、その心理的な特徴と理由を探ってみましょう。それはどうやら、3パターンに分かれると考えられます。
1 コミュ障型
コミュ障まではいかなくても、基本的に人と一緒にいると緊張したり、うまく話せなかったりして、その結果一人の方が楽になってしまった、というタイプです。
こういう人は、まず
- 人と目を合わせられない
- 誰かと食事すると気持ち悪くなる
- 一人で街中にいるときに知り合いを見付けると親しかろうが親しくなかろうが避ける
というような、見た目にもわかるような「人とのコミュニケーションそのものが苦手=一人が楽」という傾向を持ち、社会性に欠けていることが多いです。
おそらくそういう人は、さらに突っ込むと以下のような深層心理を持っています。
失敗をしたくない
過去や子供のころに人間関係で失敗をしたり、人前で恥ずかしい思いをしたという経験を持っていることが多いのがベースにあります。それが内向的な性格を形成し、結果コミュ障気味になって、「一人が楽」と思うようになったのです。
人から見られたくない
またある意味自意識過剰な人もこのタイプに分類されます。誰も気にしていないのに、人が近くにいると見られているような気がして気が散ったり、緊張したりするタイプです。
トラブルを起こしたくない
最初の心理と似ていますが、何回かの人間関係の経験で、誰かと一緒に行動する中で意見の相違があり、それが理由で喧嘩になったり気まずい思いをしたり、というトラブルがあって、それが怖くなったり、嫌になったケースです。
2 積極的一人型
1の人はネガティブな理由から、消去法的に「一人が楽」と思うようになった場合ですが、それとは反対にポジティブに「一人が楽なので好き」と思っている人もいます。そういう人は、
- 一人で食事してる時に、知り合いが来て勝手に同じテーブルに座られると腹が立つ
- 彼女が欲しいと思わない
- 相手が自分に合わせるならまだしも、自分から合わせる気にはならない
と思っていることが多いです。社会性はあっても協調性には難あり、というタイプです。そしてそう思う心理の動きは以下の通りです。
一人の世界にひたりたい
まず、読書、インターネット、DVD鑑賞、勉強、仕事、ショッピング、食事、ドライブ、趣味と一人で十分楽しめる方法を知っているタイプです。
あるいは何かに集中力を発揮したい時にはひとりになりたいタイプもこれに入ります。こういう人は一緒に誰かがいると邪魔なのです。
他人が必要ではない
人間は原始時代のころから弱い動物なので、群れを作ることでお互いに防衛しながら生きてきた本能を持っています。
しかし、現代では、コンビニでいつでも買い物ができ、インターネットでいくらでも情報が収集でき、環境的に群れる必要がなくなって、その本能を失ってきています。
それが極端に出ると、一人で生きていくことがむしろその人の本能になり、一緒にいる理由を見つけられないため、今の本能にしたがって生きるようになるのです。
人に合わせることが面倒くさい
ショッピングしろ、食事にしろ、誰かと一緒に行動する場合は、必ず意見の調整が発生します。その結果、自分の希望が通らないことや妥協しなければならないこともあるでしょう。
このタイプの人は、そういうことが嫌なのです。ある意味、究極にわがままなのだとも言えるでしょう。その結果、誰かと一緒にいることが面倒くさくなり、一人でいることを選ぶようになるのです。
3 本当は一人でいたくない型
上の2つとは違うタイプが「本当は一人はイヤだけれど、一方ではそれも仕方ない」と持っている人です。
なぜ、一人でいることを選んだのかは1と似ていますが、「一人が楽」だと思うようになった経緯と、その濃度はグラデーションになっていて若干違います。この人は基本的に以下の4パターンの心理状態にあります。
- 周りに人がいなくなり「物理的に一人」になると孤独感を感じる。本当は人と一緒にいたい。
- 周りに人がいても、心が通じ合わない。でも世界のどこかには真に分かりあえる人がきっといるはず。
- 人間は結局一人。根本的に分かりあえることはない。そう考えると一人でいたほうがいいかもしれない。
- 人間は結局一人。しかし理解しあう努力はしたいが相手がいない。
このように心に矛盾を抱えながら、その中で結局は一人でいることを選択している人たちです。
一人が楽なことに慣れてしまうメリット
このように、「一人が楽」だと思っている人の心理は、実は様々なので一概にメリットとデメリットを指摘することは難しいです。しかし、物理的に「一人でいる」ことによって発生するメリットとデメリットは共通して存在するので、それについてご紹介します。
まずはメリットからですが、それは以下のような点が挙げられます。
- 買い物も映画も食事も自分のペースで好きなように行ける。
- 金銭的にも、人のためにお金を使うことがないので余裕ができ、自分の好きなことや趣味に注ぎ込める
- 複数で行動する時に発生する、わがまま、時間を守らない、食事や店の選択で持論を曲げない、割勘などでもめる、というトラブルに巻き込まれないので、心理的に平和でいられる。
一人が楽だと思ってしまうことのデメリット
次にデメリットは以下のような点が挙げられます。
- 時間が余る。何をしていいのかわからない。
- たまに、知り合い程度の知人と一緒にいてコミュニケーションをとるハメになった時に疲れる
- いずれ孤独死をするかもしれない
- 恋愛、結婚ができない。生涯独身で自分の家族を持てない。
- 会話をすることが必要な場面になってもうまく話せない
- 人と会話したいけれど、話題が思いつかない
- ちょっとしたことで傷つく
などです。
まとめ
いかがでしたか。
「一人が楽」と思ったり、公言したりしている人も、実は男女問わず、心理の奥深くまで入っていくといろいろなタイプがいることがお分かりいただけたでしょうか。
もしも自分の周りにそういうタイプの人がいて、何とかその人と親しくなりたいと思ったら、以上のことをベースに分析して、どのように違づいたらよいのか考えてください。
また、親しくなりたくない場合でも、このような心理なのだということで、ある意味「承認」してあげてほしいものです。