どうも、言葉を学び、言葉を操る職に就き、こんなにも言葉を愛でてるにも関わらず、言葉は裏切るものだと落胆する、そんなコトバっかりな人生、高見つかさこコトバクレツQです。自分のことをコトバ上皇、と呼ぶときもあったり、なかったり、なかったり。
はてさてそんな僕が語る恋愛の“いろは”…というより“つねな”くらいくらいのつっこんだ場所にある考え過ぎの迷宮へようこそ。あなたは女性のちょっとした一言が異常に気になってしまうということはありませんか。これには答えるべきなのか? それともスルーを決め込むべきなのか…。愛…どんな罠かくらい、自分で気づきたい、I don’t wanna cry.傷つきたくない。そんなときに踏み入れる、妄想の迷宮がこのコラム。さあ、冒険のはじまりです。
第四迷宮
「“好きな映画の話”には危険がいっぱい」
出典:http://p.cdnanapi.com/
言葉というのは魔術です。魔法です。女性がふいにこぼしたその魔法が、いったい誰に対して放たれたものだったのかわからないまま、これは俺に言っているんだ! と勝手に自分がかかってしまう、そんな魔法泥棒たちが世の中にはたくさんいることでしょう。そんな恋愛犯罪者をなくすために、恋の万引きGメンこと僕は立ち上がったのです。勝手に!
その人の人となりを知るには、好きな映画を聞けばいい、なんて言葉があります。映画の話はプライベートなものでもないですし、気軽に話せる話題でもあると思います。そして長く会話をしなくてもいい、感想をいい合える、ということから、初デートの場所として映画館を選ぶカップルも多いようです。そんな映画の話になったときに陥りがちな恋愛犯罪が、「じゃあ一緒に見る?」です。映画に対する女性の好意的とも思える反応にはこういう裏側がある、と僕は妄想します。
その映画見たかったんだよね!
自分がしている映画の話に女性が食いついてきました。しかも“見たかった”と言っている。ここは思わず「じゃあ一緒に見る?!」と返してしまいそうになるのが恋愛犯罪者が陥りやすいところです。よく聞いて下さい。彼女は「見たかった」と言っているのです。過去形、即ちもう見る気はないのです。いま現在も見たいなら「見たい」と言うはずなんです大人なんですから。過去を引きずらない女、そんな女性に「一緒に見る?」と言っても「何をだ? 過去をか? それとも痛い目を見たいのか?」とバック・トゥ・ザ・フューチャーのビフ・タネンみたいなことを言われるのがオチです。気をつけましょう。
その映画見てみたい!
あれ? “見たかった”ではない! 過去の話じゃないんだ! と思って「じゃあ一緒に見る?」と返してしまいそうになるのが恋愛犯罪者が陥りやすいところです。よく聞いて下さい。彼女は「見てみたい」と言っているのです。あくまで試みです。見ることをしてみたい、と言っているだけなのです。見る前の段階。モチベーションの弱さを感じとりましょう。いわば行けたら行くのパターンです。絶対に来ない。絶対に見ないのです。そんな女性に「一緒に見る?」と言っても「うん! 見れたらいいね!」と、ドリカムの晴れたらいいねくらいの感じで言われるのがオチです。本気にしたら馬鹿を見ます。気をつけましょう。
その映画見たーい!
あれれ? “見たかった”でもなければ“見てみたい”でもないぞ!? これは! と思って「じゃあ一緒に見る?」と返してしまいそうになるのが恋愛犯罪者が陥りやすいところです。よく考えて下さい。もしあなたと見たいなら、向こうから「一緒に見にいかない?」もしくは「見せてよ!」と言ってくるはずなのです。彼女は言いましたか? 「あなたと」と。それを言わないということはそういうことなのです。むしろあなたの自意識過剰に気を遣ってくれているくらいです。そんな女性に「一緒に見る?」と言っても「なんで? アホみたーい!」と、一瞬「a Hold me tight? きつく抱き締めてくれってこと!?」と聞き間違えてしまうくらいの感じで言われるのがオチです。抱き締めたが最後、実際の犯罪者の憂き目を見ます。気をつけましょう。
Magic on coin.コインのマジック(恋のマジック=その手にはのらない)の精神で、「じゃあ、一緒に見る?」はグっと我慢しましょう。逆に女性のしだした映画の話に対して、こちらのとる言動にも気をつけなければいけません。
俺その映画好きで何回も見てるんだよね
これは一番のご法度です。たとえこちらに好意があったとしても気をつけましょう。女性という生き物は二人のはじめてを積み重ねていきたいものなのです。そして知識のひけらかしを極端に嫌います。こんなことを言えば、「ああ、そうなの? じゃああなたとは見ない。だってあなた、何回も見てるんでしょ? 説明とかされたら嫌だし、たぶんそれだけ好きな映画なら一人で見た方が楽しめると思うよ。もしかしたら、わたし、気にいらないかも知れないし」と思われるのがオチです。気をつけましょう。
俺もその映画見たいと思ってたんだよね
これはなかなか良い作戦。もし女性に気があるなら「じゃあ一緒に行こうよ」と言い出せやすそうな土台をつくりつつも、いや別に一人でも見に行こうと思ってたし、誘われなくてもなんとも思いまへんで~という逃げ道もつくっている巧妙な言動だからです。とか思ったら大間違いです。「なに会話に入ってきておるのだ。俺も…? いまはわたし“は”、の話をしているのがわからないのか? どうして男はすぐ自分を主人公(ヒーロー)にして話を構築しだすのだ。端役は黙って話を聞いていればいいのだ」と思われるのがオチです。女性と話をするときは出来るだけ彼女を主人公(ヒロイン)にしてあげましょう。意見が聞きたいのではありません。“話を聞いて”欲しいのです。気をつけましょう。
わかる! そういう映画、好きそうだもんね!
女性は共感を求める生き物。同調を繰り返すことが攻略の第一歩です。相手にも、「いい天気だね」などの簡単な質問でもいいので、出会ってから5回連続「YES」と言わせれば、この人と波長が合うと認識させられるのです。逆もまた然り! と思ったら大間違いです。「お前にこの映画の何がわかるのだ! わかったフリをされるのが一番人に対して屈辱的な行為だとなぜわからないんだ? どういう気持ちでわたしがこの映画を見ているかお前なんかにわかるようなら切腹するね! 女子だけど!」と思われるのがオチです。いくら女性が自分のことをわかってもらいたいと思っていても、根拠のない同調が一番の嫌悪の対象なのです。元々特別なオンリーワンだ、などと思っている生き物なのですから。気をつけましょう。
このように、共通の観点を探り、そこから取り入ろうと画策するのはとてもリスクが高いことがよくわかります。マンガや小説の実写映画化が難しいのと同じですね。あれ? 違う? ま、あれですよ、タイタニック、言うとけばいいんですよ。サブカル気取りの時計仕掛けのオレンジや、ヤンシュバンク・マイエルのアリス、リリイ・シュシュのすべて、なんて言ってしまわないようにだけ気をつけましょう。そういうのに反応する女性こそが、厄介な場合が多いみたいですよ。人生は映画のようにうまくはいかない。A life doesn’t work like a movie.では、本日はこのへんで。
【爆烈Q (ばくれつきゅー)】