部下や後輩が仕事でミスをしてしまった場合どうしていますか?
そのミスをフォローするために自分が肩代わりする、ということもあるかもしれませんが、それでは根本的な解決になりません。なぜなら、その部下や後輩は次も同じミスをする可能性があるからです。
そういう人たちにはもう仕事を与えない、あるいは人事部に言って異動させる、という選択肢もありますが、しかし会社というものは与えられた戦力をやりくりして成果を挙げることが原則ですから、それをしてしまうのは自分自身の責任を果たしていないことになります。
ですので、最も望ましい対応は、その人間が同じミスをしないように指導やアドバイスをすること、そして同時に今後も頑張って仕事をやる気になるようにモチベーションをアップさせることです。
つまり、仕事面と部下や後輩のマインド面の両方でのフォローが必要なのです。
そこでここではそのような仕事のミスをどうフォローしていくのか、といった方法をご紹介します。
仕事でミスをした時に人がとる態度のパターン
まず最初に、仕事でミスをした場合に人がとりがちな態度のパターンを整理しておきます。
ふてくされる
1つはふてくれされる、というタイプです。ミスの重大さよりも自分がミスを指摘されたこと自体に気分を害して「わかりました。とにかく、やればいいんですよね」などと発言してしまう人です。
誰かに責任をなすりつける
これもまたミスを挽回するということよりも、自分が責められることを何とか避けようという自己保身の本能からとる態度です。
反抗的な態度を取る
さらにもっとひどい場合は、ミスを指摘されたこと、責められたことに対して自分を守るためにこちらを攻撃してくる態度です。いわゆる逆切れです。
へらへらする
反抗したり、ふてくされたりする代わりにへらへらするタイプもいます。これはそのミスの重大さが全く分かっていない場合と、笑ってごまかすという自己保身の場合があります。
落ち込んだり、感情的になる
以上のパターンは社会人としての自覚そのものがない場合ですが、逆にそのミスの重大さを理解していてその責任に耐え切れず落ち込んだり、感情的になって泣いたりするタイプもいます。
ただし、ミスの重大さが分かっていなくても、責められることから逃げるために泣いて見せたり、単純に自分自身に対して持っている過大評価が否定されたショックで泣いたり落ち込んだりしている可能性もあるので、その見極めが必要です。
ミスに対応し、再発を防ぐためのフォローの仕方
このように、ミスをした場合にその人がとる特徴的な態度はいろいろとあります。それについて、
- まずミスの対応をどうするかと言いう点
- そして次のミスをさせないようにその人の根幹に問題がある場合はそれを改善させる点
- さらに次の仕事に対するモチベーションを上げる点
の3つで、フォローの仕方をご紹介します。
迅速に報告する、させる
まずはミスへの対策です。そのミスが大きな問題につながるようであれば、上司に報告をさせる必要があります。
自分の後輩の場合は、マネージャーやリーダーなどの共通の上司、責任者に報告に行かせるか、あるいは一緒に報告に行きましょう。
あるいは、自分の部下のミスを自分自身の上司や取引先、クライアントに報告する必要がある時には、自分で報告に行く必要があります。以上は迅速に行いましょう。
その際には、その後輩または部下に、
- 絶対に言い訳はしないこと
- 事実は事実として粉飾したりごまかしたりしないで正確に伝えること
- 叱責されてもふてくされたり逆切れしたり、あるいは泣くなどの感情的にならないこと
という点にはくぎを刺しておきましょう。
原因を一緒に客観的に分析する
報告が済んで、そのミスの対策を緊急に施さなくてもよい場合は、その部下や後輩が同じミスを再発させないためのフォローです。
そのためには、まずミスや失敗を起こしてしまった原因を一緒に分析しましょう。
その際、まず自己弁護や自己保身、自己防衛をさせないということが前提になりますが、そのフォロー方法についてはこの後で述べます。その上で、
- 確認や注意不足だったのか
- 思い込みで仕事をしていたのか
- スキルや知識が足りなかったのか
- そもそもミスが起こってしまうような作業フローなのか
といったことを明らかにしましょう。
一緒に対策をたてる
失敗の原因への認識が一致したら、その部分を改善するための対策を立てましょう。
それも、「次からはもっと気を付けて取り組む」などのような精神論や根性論などの抽象的な対策ではなく、頭の中での確認ではなくチェック表を作ってチェックしてからその仕事を終わらせる、というような具体策にすることが大切です。
ミスを受け止められる姿勢を持たせる
そこまで終わって、ミスの再発が防げるメドが立ったら、後輩や部下がふてくされるなどの根本的な仕事への取り組み姿勢に問題があればその矯正を行います。
それには、その態度や姿勢に応じて以下のようなフォローの仕方があります。
まず1つはミスの重大さを理解していない場合です。
これについては、その仕事でミスが起こるとどれだけの影響がありその結果会社にどのくらいの損害があるのかということを教えると同時に、本人自身にとっても、ミスをして信頼を失うことがいかにそんなことなのか、ということを話しましょう。
2つめは、それでもなかなかミスを正面から受け止められない、自己保身や自己防衛の意識が残っている場合です。
そういう人には、ミスを認めることは最初は勇気が必要だが、それによって得るものも大きいという話をしましょう。
ミスを素直に認めれば、先輩や上司も一瞬は怒るかもしれませんが、しかし必要以上の追及は行いませんし、返ってその潔さによって評価が上がる場合さえあります。
そして何より「失敗は成功の母」ですから、自分でミスを受け止めることで2回目のミスをしないで済む可能性が高まります。
次の仕事に向けてのモチベーションを上げる
そして最後に、その後輩や部下が、このミスで自信を失ったり、仕事への意欲をなくしたり、あるいは自分を責めて泣いてしまっている場合などに対して、もう1度頑張ろうというモチベーションをアップさせるフォローを行います。
これも、相手の状況や姿勢、性格によっていくつかの方法があります。
適度にプレッシャーを与える
特にミスの重大さをなかなか理解できなかった人には、再度同じことを繰り返した場合の本人の損失と会社側の損害の話をして、プレッシャーをかけましょう。
ただし、あまり大きなプレッシャーではつぶれてしまう場合もありますし、また「同じことをしたら2度とフォローしないから」というような「あなたを見捨てる」的な内容のプレッシャーは本人の不安をあおるだけなので、止めましょう。
きちんと仕事ができた場合の本人のメリットを提示する
ミスを起こさない対策を自分の意思でしっかりと実践させるようにするには、それをすれば回りまわって自分のメリットとして返ってくることを理解させましょう。たとえば、
- 上司や社内からの評価が上がって昇格や昇給につながる
- あるいはそういう仕事が続けば次は自分の希望する部署への異動や望んだ仕事を任されるチャンスが出てくる
などです。さらにこのような功利的なことだけではなく、
- 自分自身がビジネスパーソンとして成長していける
- 職場のメンバーや同僚などに感謝される存在になる
などのメンタル面でのモチベーションも合わせて上げましょう。
仕事の手順、意味、内容をまず考える癖を付けさせる
今回のミスの再発は、再発防止策を具体的に立てることで実現できたとしても、本人の仕事への取り組みの仕方に問題があれば、今度はほかの部分でミスを発生させる可能性があります。
あるいは本人もそれについては不安に思っているかもしれません。
そう言う場合は、仕事を与えられたら、いきなり取り組む前に、少し時間をかけてその仕事の目的、手順、意味、注意点などを考え、わからない点があれば相談や質問をする癖を付けさせましょう。
仮にそのような時間を仕事に取り組む前に多少取っても、作業効率が上がりますから、それによって全体の作業時間が伸びてしまうということはありません。
作業内容の確認の癖を付けさせる
作業後の確認を怠ることによってミスが発生してしまう人には、業務の事後のチェックを徹底させましょう。
特に企画系、営業系の仕事や職業ではなく管理系や製造系の場合はミスが0で当たり前であり、1つの数字の間違いが大変な影響をもたらしますので、そのことをまずしっかり理解させ、そのためのチェックの癖を付けさせることです。
納期が短いために焦って事後チェックを飛ばしてしまうことが多い場合は、早めに仕事を始めることや、仕事を任された段階で短納期なら伸ばしてもらように頼むことなどを、あわせてアドバイスしておきましょう。
まとめ
いかがですか。
後輩や部下を持った場合は、その人を育てて戦力にする、ということが最終的には自分の負担を軽くすることにつながります。
ですので、ミスが起こったら自分で処理しておしまい、ではなく、再発防止、そしてミスが起こる根幹の原因をクリアにしておくことが大切です。
そのようなことまでして、その仕事のミスへのフォローが終わったと考えてください。