「コミュ障」という言葉を最近特にインターネットのスラングで聞くようになりました。
それはどちらかというと、ネット特有の「人を貶める」文脈で使われていて、コミュ障=人間的な価値が低い、というような意味合いなっています。自分のことでさえ、軽いノリで「俺、コミュ障だから」と言っているケースさえあります。
しかし、コミュ障は人によっては病理学的な症状ですし、何より本人にとっては非常につらい状態です。決して軽く扱っていい問題ではありません。
そこまで重くとらえなかったとしても、若い、自分がコミュ障ではないかと思っている男性にとっては、何より身近な問題として、
- コミュ障だと女子にモテない
- 友達ができない
- 仕事に支障がある
という面で悩むことも多いでしょう。
そこで、ここではコミュ障とはどう言う状態のことか、それを克服するにはどうしたらよいのか、と言ったことについてご紹介します。
この記事の目次
そもそもコミュ障とはどういう状態を指すのか?
コミュ障の正しい定義とは?
まずそもそもの「コミュ障とは何か」という定義を確認しておきます。 コミュ障とは「コミュニケーション障害」の略で、人間関係の中で会話を中心にしたコミュニケーションを必要とする時、にそれを十分に行えない障害のことです。
その原因は後で詳しく書きますが、主には聴覚器官や発声器官の機能に問題がある身体障害の場合と、コミュニケーションに対する恐怖心や対人関係がうまく作れない精神障害や発達障害など精神的な問題の場合があります。
この場合は、多くは自閉症的な症状と併せて発症していることも多いです。
現代は生きていくうえでの困難な問題を抱えている人が非常に増加している時代であり、コミュニケーション障害もその中に該当すると位置づけられています。
自分はコミュ障?それとも話下手なだけ?
冒頭に、最近はコミュ障の扱い方が軽いと書きましたが、そういう流れの中で「自分はコミュ障なのだろうか、どうなのだろうか」と考えている人もいるでしょう。自分がコミュ障かどうかということを判断する上で、以下のような特徴があるのかどうかが判断のポイントになります。
会話能力が低く、言葉でコミュニケーションをとることが困難である
これは具体的には、2つあります。1つは「受信機能」が低い、ということです。
具体的には
- 人が何を考えて発言してるのかの意図を読めない
- 言葉で明確に伝えてもらわないと、意図や内容が理解できない
- 相手の口から発せられている音声を、意味のある言葉としてとらえられない
- 話の文脈に沿って、その内容を理解できない
ということです。もう1つは「発信機能」に問題がある、ということです。たとえば
- 会話の時に、うまく言葉が発声できない
- 今の話題から逸れた話を突然始めてしまうなど、話題を維持することが困難
などです。かと思えば
- 自分の趣味や関心のある話を、聞く側の反応と関係なく延々としてしまう
という場合もあります。
人と接している時の行動に問題がある
また態度の中でのコミュ障の特徴は
- 人と目を合わせられない
- 誰とでも目が合うとドキドキして非常に緊張してしまう
ことが挙げられますが、これも逆に
- 意味もなく、じっと人の目を見つめ続ける
という現れ方をする場合もあります。
自分がコミュ障に該当するか?チェックリスト
自分がただの人見知りなのか、あるいは「障害」の部類なのか、ということは非常に気になるところです。そう場合は以下でセルフチェックをしてください。
- 人と話すことに恐怖を感じる
- 人が話しかけるとパニックになり、目が泳いだリ、態度がおかしくなる
- 周囲の目が非常に気になる
- 会話が続かず、雰囲気が気まずくなる
- 事務的な話は可能だが、他愛ない雑談はできない
- 他人に興味がない
- 人と深い関りを持つのが苦手で避けている
- 自分を肯定できない
- 人に対して本音を言うのが苦手
- 人と挨拶をする場面を極力避ける
- 自己主張が苦手
以上の11項目のうち6つ以上該当するようであれば、重度軽度は別にして、コミュ障の可能性があります。
なぜコミュ障になってしまったのか?コミュ障の精神状態の特徴
発達障害による先天的な病気や、病気、ケガ、先天的な疾患によって言語機能に問題がある場合もコミュ障になります。また災害や事故に巻き込まれトラウマから外界と接することができなくなる場合もあります。
しかしこのような明らかな要因以外にも、基本的には身体も精神も見た目は健常であるにもかかわらず、以下のような主に精神状態に由来する原因によってコミュ障になることがあります。
- 学校や職場でいじめられたりモラハラ、パワハラにあって、人間が怖くなった
- 子供のころに家庭で離婚問題などのトラブルがあり、人と接したくなくなった
- 進学、就職、仕事で挫折し、自信を喪失した
- ひどい失恋をして、人と接したくなくなった
- 職場、居住地域、ママ友などのコミュニティの中での人間関係で疲弊し、人と関わりたくなくなった
- しゃべっているところを人から笑われたり、変な顔をされた経験から、滑舌、声、言葉遣いに自信がなくなった
コミュ障はやっぱりモテない?
このような原因から発症してしまうコミュ障ですが、生きていくうえではいろいろな難局にぶつかる可能性があります。
コミュ障がモテないのは本当?
コミュ障は「障害」であって、「人格的な問題点」では決してありません。ですので、コミュ障でありながらごく一部の人とはコミュニケーションが普通にとれ、それが女性であり、かつお互いの本質的な性格に惹かれあえば恋愛関係になることは十分以上にあり得ます。
しかし残念ながら、それはコミュ障の非常に狭いストライクゾーンをくぐりぬけた人との場合に限られ、ほとんどの場合は、仮に出会いはあっても、その時の表面的なファーストコンタクトで、コミュ障が阻害要因になり、男性として拒否されてしまうこともまたよくあることです。
これはどういう女性心理かというと、コミュ障の人がとりがちな態度である、「人から話しかけられたり、アプローチされると、目が泳いでまともなこと会話ができない、挙動不審状態になる」ということが問題になるのです。
女性は本能的に自分を弱い存在だと思っているので、自分を庇護し、守ってくれる存在を求めています。ですので、好きになる男性のタイプとしては「落ち着いている」「頼りがいがある」「力強い」ということがほぼ共通しています。
上司や社会的地位が高い人を好きになるのはこの本能的な心理からです。
これに対してコミュ障の男性は、特に恋愛経験がなかったり、童貞であったりすると、女性が普通に接しても、非常に落ち着きがなく、おどおどして、あせってしまうので、その表面的な姿を見て、女性は一気に恋愛対象から除外してしまうのです。
ですので、残念ながらコミュ障はモテないということは一般的には言えてしまいます。
生きていくうえでコミュ障であることの弊害は?
仕事上もコミュ障は困難にぶつかる?
コミュ障の場合は、仕事をする上でも難しい部分があります。
事務系専門職、クリエイティブ職、技術職などのように、人とコミュニケーションをとらずに自分の得意分野に没頭して仕事ができる職種であれば、そのような場面は少ないですが、サービス系、コンサルタント系、販売職、営業職などまさにコミュニケーションが仕事であるような職種になってしまった場合は、非常に苦労します。
中には仕事に限定した事務的な話だけであればある程度問題なくできる人でも、仕事を円滑に進めるための、オフサイトのコミュニケーションをとることが非常に難しいので、それが結果的に仕事を進める上での阻害要因、あるいはそこまでいかなくても大きな成果を生み出すうえでの障害になるケースは多いのです。
日常生活での支障をきたす?
人は生きていく中で、多かれ少なかれ外界と接しなくてはなりませんが、そういう場面でもコミュ障の場合は、いろいろな困難にぶつかります。
まず、同じ学校、職場、近隣の住居エリアなどで友達や知り合いができません。コミュ障の人は、挨拶が苦手で、特に初対面での会話は非常にう苦手です。そして顔見知りになって多少話をするようになっても、会話が続きません。
したがって、コミュニティの中で自分の立ち位置を確保することが難しいのです。
また、生きていく上で何でも話せる親友の存在というものは非常に重要ですが、コミュ障の場合、そういう存在がなかなかできません。これは、人に対する猜疑心が心の奥底にあり、同時に自己肯定感も低いので、相手に対して本音の深い話ができない、ということに由来します。
これだけであれば、1人で生きていくことを覚悟すればいいという割り切りもありますが、しかしコミュ障はそのままにしておくと、次第に悪化していくものなのです。それは、まず、
- 人とのコミュニケーションが取れない
- 人との関りを極力避ける
- その結果、社会にも、外にさえ出るのが嫌で怖くなる
- 引きこもりになる
- うつ病になる
というケースです。
そうなってしまうと、コミュ障の問題だけではなく、社会的に存在していくこと自体が難しくなるので、そうなる前に克服する必要があります。
そんな中でもコミュ障であることでの長所もある
このようなコミュ障ですが、悪い面だけではありません。
一般的にはコミュ障の人は、生真面目で専門的な知識を習得することに長けており、行動がマニュアルや時間に対して正確である、という長所があります。ですので、反復に飽きずに取り組む必要のある仕事や、専門的な知識が必要なプログラム開発の仕事、デザインの仕事などであれば、力を発揮することができるでしょう。
もちろん、その中には、たとえばクライアントとの打ち合わせが必要な仕事などもあるので、そのようなものの場合は難しいかもしれません。
コミュ障を克服してモテるようになるには
ではこのようなコミュ障を克服して、人や社会と関わりながら暮らせる「開かれた」人生を送るにはどうしたらよいのでしょうか。もちろんその先には、女性にモテて恋愛関係になる、ということも含みます。
以下そのための努力の内容を説明します。
コミュニケーションの基本を身につける
かなり重いコミュ障である場合は、コミュニケーションの基本のスキルから身につけましょう。それには3つあります。
1.挨拶ができるようにする
ステレオタイプな言い方になりますが、やはり「挨拶は人間関係の基本」です。ですので、まずはここから克服しましょう。そのために努力すべきことは2点です。
1つは、挨拶は目を見て行いましょう。
目を見るのは、コミュニケーションの基本であり、相手を尊重しているというサインです。目を合わせないで挨拶することは、こちらがコミュ障であるからであっても、相手からは「自分を認めていない」ととられてしまいます。それでは、そもそも友好なコミュニケーションなどは取れるはずがありません。
2つめは、挨拶は相手に聞こえる声でしましょう。
よく下を向いてぼそぼそ挨拶する人がコミュ障ではなくてもいますが、あれは相手に聞こえていないため挨拶として成立していません。仮に聞こえていても、相手に自分の好意が伝わりませんのでやはりそれをきっかけに良好なコミュニケーションがとれるようにはなりません。
少しくらい相手が驚くような大きな声で構いませんので、聞こえるように挨拶しましょう。
2.相手の話に相づちを打つ
相づちをうつことは「あなたの話をちゃんと聞いています」というコミュニケーション上のサインです。それがあるから、相手は引き続きその人とコミュニケーションをとろうと思うのです。
それに対して、スマホを触りながら話を聞く、相手が一方的に話すのをじっと黙って聞いている、というのでは片方が一方的に発信しているだけで、発信と受信の「双方向」が基本のコミュニケーションになりません。ですので、相づちをきちんと打ちましょう。
打つうえでは、コツがあります。それは、相づちの仕方を3つ用意しておくことです。相手がどんな話をしても「なるほど」しか返さなかったら、せっかく相づちをうっても相手には「こちらのは話をちゃんと聞いていないな」ととられてしまいます。
ですので
- なるほど
- へえ、そうなんですか
- ふ~ん
など、3つのバリエーションを持ち、それを順繰りに使いましょう。
3.感情表現に挑戦する
コミュ障の人は感情表現が苦手で、相手の話が面白くても笑わず、悲しい話でも平静です。しかし、感情表現が多少なりともできるようになると、さらに会話としては盛り上がります。
相づちの少し高度版になりますが、その次にはこれにも挑戦しましょう。
と言ってもいきなり感情豊かな人間になれ、と言うのは無理です。しかし感情表現とは、つまるところ「悲しい時には泣き、楽しい時には笑う」ということですので、まずはその「笑う」ことの訓練から始めましょう。
方法は簡単です。自分で普段から意識をして声を上げて笑うようにするだけです。
たとえば、お笑い番組を見て笑う、漫画を読んで笑う、ネットの面白い記事を見て笑う、などです。声を上げて笑うことは一種のクセになりますので、これをしておくと相手が多少面白い話をしたときにも笑えるようになります。ぜひここから始めてみてください。
受信機能が高まったら「双方向」に挑戦
コミュニケーションは双方向のメッセージ交換です。ですので、受信だけではなく、発信もできるようになることが、コミュ障を克服する次のステップです。具体的に言うと、「会話が続くようにする」ことです。
相手が何か話して、相づちをうって笑ったりできても、それは相手にとっては満足かもしれませんが、こちらのことを誰かに理解してもらうことにはつながりません。
コミュ障克服も、その先のモテも、誰かに自分のことをわかってもらって、初めて成立しますので、会話が続き、相手にこちらの話も聞いてもらえるようにするのは重要なことです。
しかし、実際それをしようとしても、どう発信すればいいのかわからない、ということも多いでしょう。それをクリアするテクニックの1つとして「キーワードミラー話法」というものがあります。
キーワードミラー話法とは、相手が話す中からキーワードを拾って、それをそのまま使って相手に返す方法です。
たとえば、相手が「最近暑い日が続きますね」と言われたら「あ、ええ、はい」ではなく、「ほんとに暑くなりましたね」と返します。
これは「会話を続ける」初歩ですが、こういう話し方をしているうちに、だんだんと相手の出した話題に自分も「ほんとに熱くありましたね。昨日は30度ありましたよ」と会話を膨らませることができるようになり、会話が続くようになります。
会話ネタを用意する必要もありませんので、ぜひ試してみてください。
コミュ障克服には心の持ち方も大切
病気やケガ、あるいは発達障害などによる場合を除いて、多くのコミュ障の根本の要因は、その人の心の持ち方に由来します。たとえば、
- 恥をかきたくない
- 嫌な思いをしたくない
- 変な人と思われたくない
- その裏返しで人に好かれたい
などの恐れや願望があるために、コミュ障になっているのです。ですので、コミュ障を克服するには、その自分の心の持ち方を矯正することが1番重要です。そのためには、以下のように考えるようにしてみましょう。
人間は完璧じゃない。誰でも失敗する。
コミュ障の人の共通点は、失敗に対して非常に耐性がないということです。またそれが分かっているので、できるだけ失敗しそうな場面を避けようとします。
しかし、人間は誰も失敗をしながら生きていくものです。完璧な人間などいません。ですので、コミュニケーション上の完璧な対応もありません。
どんな人が相手でも、自分の話を面白おかしく聞かせて楽しませて、そして自分の評価も上がる、などということはテレビの中の、それもごく一部のお笑いタレントだけです。そして彼らもそのためには陰で大変な努力と訓練をしています。
ですので、まずは挨拶から始まって、徐々にステップを上げて、不細工でもいいですからだんだんとコミュニケーションがとれるようにしていきましょう。対女性の場合でも、そこさえクリアすれば、あとは本人の本質的な人間性の勝負ですから、そこがしっかりしていれば必ず彼女はできます。
他人を見下さない
コミュ障の人は、コミュ障であることにコンプレックスを持っています。そしてそのコンプレックスの裏返しとして、逆に他人を見下して自分の自尊心やアイデンティティを守ろうとします。その結果、コミュニケーションがうまく取れなくても
- あいつらと俺は釣り合わない
- 別にこいつらと話せなくてもいい
- 何てみんなレベル低いんだ
と、他人を否定するようになります。
しかし、これをしていては、いつまでたっても人とのコミュニケーションは取れるようになりませんし、そのうち人に興味を持つことさえできなくなります。
ですので、まずは、人と接したり行動を見たら、その人の長所を1つだけでいいので探す努力をしましょう。長所が見つからなければ、その人がなぜそのような態度や発言をとっているのか、相手の感情を想像してみるようにしましょう。
それができたら、一気にコミュ障からの脱却の道が見えるはずです。
まとめ
いかがでしたか。
コミュ障はつらい性格であり、性癖であり、もちろん障害でもあります。しかし、その障害に甘んじていると、人生としては非常に損をします。
モテない問題だけではありません。他人の経験を共有することで自分の考えを深めることも、他人と接することで自分の人生を豊かにすることもできません。
ですので、自分はコミュ障だから、と言ってあきらめないで、ぜひ克服するために努力してみましょう。
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