人は表では平静をよそおっていても、裏では誰もが性欲がありスケベなもの。セックスはみんな大好き。そんな風に思っている人は多いでしょう。しかし、これは大きな誤解だといえます。
最近では性行為だけでなく、性的なもの全般に嫌悪感を抱く性嫌悪障害を抱える人が増えています。現代の深刻な悩みの背景をさぐってみましょう。
この記事の目次
セックスレスの原因となる性嫌悪障害
性嫌悪障害とは?
そもそも性嫌悪障害とはどのようなものなのでしょうか。性行為そのものに嫌悪感を抱くだけでなく、性的なイメージ、表現にまで嫌悪感を抱くことがあります。こうした症状の全般を指して性嫌悪障害といいます。
ただし、もともとセックスに対して好き嫌いがあります。これは個人の好みの程度の差であるといえるでしょう。しかし性嫌悪障害とは何らかの原因があって、性嫌悪を発してしまう症状をいいます。
特定のパートナーとの性行為に嫌悪感を抱くものから、性的な内容そのものを相手に関わらず嫌う性嫌悪までさまざまな症状があります。一般的に性嫌悪の状態が重度になればなるほど、回復は難しいといわれています。
病気なのか、気質なのか
性嫌悪障害は広い意味では精神疾患のひとつだといえますが、単にその人の気質という見方もあります。いわゆるセックスの好き嫌いの問題です。性嫌悪障害は病気なのか、気持ちの問題なのか、正解はその両方だといえるでしょう。
例えば頭が痛い場合は頭痛薬を飲めば良いですよね。これは対処療法的な治療です。
しかしながら精神疾患は、複数の要素が複雑にからみあっており、原因が即座に特定できないため、回復や治療が困難となる場合が多いのです。
セックスレスの弊害はどんなものがある?
パートナーとの関係が悪化
それでは性嫌悪障害から起こるセックスレスにはどんな弊害があるでしょうか。
お互いに好きならば、セックスを介さなくても良いのではないかと思うかもしれません。もちろん、それはまったく言えないことはないのですが、理想論に過ぎないといえるでしょう。セックスをしなければどうしても埋められない壁もあるのです。
例えば、性欲があってセックスをしたいのに、相手が応じてくれない場合にはどうすれば良いでしょうか。男性の場合は、自分でオナニーをするか、性風俗店に行くか、あるいはセックスフレンドや、ほかの女性のパートナーを探すことになるでしょう。これは女性の側からしても同じことです。
お互いに好き同士だけれどもセックスは別の手段を使って行っている、そうしたいびつな関係ではパートナーの関係を平穏に保つことはできないでしょう。
性嫌悪はパートナーとの関係にヒビが入る可能性が非常に高いのです。
恋人を持つこと自体を恐れる?
こうしたセックスに対する性嫌悪が極まってゆくと、恋人を持つことそのものに恐れを持つ可能性があります。もちろん、セックスは嫌いだから、恋人もいらないとなるのはけっこうですが、そうした人生は空しいものでしょう。
特に心の中では、恋人が欲しいと思っているにも関わらず、性嫌悪から恋人を持つこと自体に恐れを感じているならば、心のバランスが崩れてしまい、精神に悪影響をおよぼすことは必至です。
回復は難しい?
性嫌悪障害は、誰もが起こり得る問題だといえます。その人それぞれに原因があります。何よりも嫌いなものを好きになれといきなり言われて、それを実行に移せる人は少ないでしょう。
これからずっと嫌いな食べ物だけを出される、あるいは嫌いな人と一緒に仕事をしなければいけないと言われれば誰もが嫌だと思うでしょう。性嫌悪障害もこれと同じことなのです。
こうしたものは気の持ちようであり、気持ちの問題だからなんとかなると思うかもしれませんが、こうした楽観的な見方ができないほどセックスを嫌悪する性嫌悪障害は深刻なのです。
原因として考えられることは?
どんな原因がある?
それでは性嫌悪障害にはどのような原因があるのでしょうか。セックスを嫌悪する性嫌悪障害は、男性と女声で異なる点があるといわれています。
男女で原因が一致しないからこそ、性嫌悪障害が男女の間において、こじれる原因となっているともいえるでしょう。
女性の場合はどんなものが?
女性が感じる性嫌悪障害の原因の一般的なものとしては幼少期に受けたトラウマ体験があるといわれています。大人から受けた性的ないたずらがトラウマとなって性嫌悪障害や、男性恐怖症となる女性が多くいました。
幼少期に受けたいたずらは、その場から逃げ出すこともできませんし、不満をはっきりと口にすることもできない。そうした追い詰められた状態であるがゆえに、心の奥底にトラウマを秘めてしまう。
そうした女性が多くいたため、性嫌悪障害は女性に圧倒的に多く見られる症状だったのです。こうした体験があれば心理にも影響をおよぼしセックスを嫌悪するようになるのは必然だともいえるでしょう。
男性の性嫌悪障害も増えている
しかしながら最近では男性にもセックスを嫌悪する性嫌悪障害が増えています。性そのものに興味を持たない草食系男子や、あるいは過去の失敗した性体験などがトラウマとなって立ち直れない症状なども、男性に見られる性嫌悪障害のひとつの症例だといえます。
特に男性の勃起不全は、病気や薬などが原因となる肉体に起因するものもありますが、心因性のものもあります。
過去にうまくいかなかったから、今回もそうだったらどうしようと不安のループを繰り返すことで、勃起不全を招いてしまうのです。
パートナーに対する意識の変化
さらに性嫌悪障害で見られる症状として、恋人や結婚相手といった特定のパートナーに対してのセックスを嫌悪する性嫌悪障害を抱く例も多くあります。
男性の場合ならば、パートナーとのセックスはしたくないが、性風俗店でサービスを受けたり、不倫相手とセックスをすることは大丈夫という人がいます。あるいはアダルト動画などは見られるし、こうしたものには嫌悪感を抱かない例です。
これはパートナーに対する意識の変化があるといえるでしょう。
それが、長く一緒にいるうちに恋人として見られなくなってしまい、友人や家族のようになってしまったという場合です。これはセックスのマンネリ化なども原因となるでしょう。
こうした夫婦のセックスレスはなかば当たり前のこととして受け止められていますが、性嫌悪障害を気づかないうちに発症していることもあるので注意が必要です。
どうすれば回復できる?
相手を性の対象として見る
セックスを嫌悪する性嫌悪障害からの回復は難しいですが、まったく手段がないわけではありません。
まず実践すべきは相手を性のパートナー、性の対象として意識することでしょう。恋人時代のような新鮮な気持ちを持つことも重要です。
パートナーの協力が大事
さらに性嫌悪障害の克服にはパートナーの協力も必要です。場合によっては男性側、女性側ともにセックスを嫌悪していることもあります。これがセックスレスの原因となっているのです。
まずは現状をきちっと受け止める必要があるでしょう。
専門家の相談も考える
性嫌悪障害の克服は自分たちだけでどうにかなるものではありません。それだけセックスに対する嫌悪は根本的な問題でもあるのです。
カウンセラーや医師などの専門家へ相談することも選択肢に入れるべきでしょう。
セックスに対する嫌悪を解消しよう
セックスを嫌悪する性嫌悪障害は誰にでも起こりうる症状です。
かつては女性に多い症状でしたが最近では男性の性嫌悪障害も増えています。女性の場合は幼少期のトラウマ、男性の場合は過去の性交体験の失敗などが原因となっています。
性嫌悪障害の回復には、パートナーや専門家の協力が不可欠です。
まとめ
- 性嫌悪障害はセックスに対する嫌悪全般であり、回復は難しい
- 性嫌悪障害が悪化すると、パートナーとの関係に悪影響をおよぼす
- 女性の性嫌悪障害の原因は幼少期の性的いたずらなどのトラウマ体験が原因のことが多い
- 男性の性嫌悪障害の原因は過去の成功体験の失敗などが原因となることが多い
- 性嫌悪障害の回復にはパートナーや專門家の協力が不可欠