人間は本能としていつまで若々しくありたいと思っています。
女性の場合はそれが肌の美しさへのこだわりとなって表れますが、男性にとっては何といっても精力が旺盛で勃起力もいつまでたってもしっかりある、ということでしょう。
しかし残念ながら、本文中で説明するいろいろな要因によって、性欲の減退ということが襲ってきます。それは、性生活が満足に送れず夫婦関係が悪化するという現実的な問題だけではなく、「男性としての誇りと自信を失う」という精神的な問題にも関わります。
そこでここでは、性欲の減退とはどのような要因で起こるのか、そしてそれを改善させるにはどういう方法があるのか、という点についてご紹介します。
この記事の目次
男性はなぜ性欲が減退するのか
男性の性欲が減退する主な要因は、いわゆる病気によって勃起障害が出る場合と、そして加齢などでそもそも性欲がなくなる場合に分けられます。
それをさらに具体的に分類していくと以下のようになります。
EDによって性欲が減退する場合
1つはよく聞くかもしれませんがEDという病気による性欲減退です。
EDとは「勃起機能の低下」を意味する英語Erectile Dysfunctionの略です。医学的には、「性交渉時に十分に勃起しないため、あるいは十分な勃起が維持できないため、満足なセックスが行えない状態」のことを指します。
一般的には、毎回勃起しないければ完全なEDですが、10回のうち3回程度うまくいかない場合もEDを疑ったほうがいいと言われています。
EDはその原因によって以下の4つに分類されます。
原因1 30歳代、40歳代に多い精神型ED
精神型EDは心因性EDとも呼ばれます。つまり精神的な問題でEDになる場合です。
通常、性的な刺激を受けた脳はペニスに勃起するように指令を出しますが、精神的ストレスによってその機能がうまく作動しなくなるので、勃起しなくなったり、勃起が急に萎えてしまったりするものです。
さらにこの精神的ストレスには2つあります。
1つは現実的要因で、日常の、客観的に見れば大きな問題ではないストレスでも、それによってEDになることがあります。
たとえば、たまたま1回の性交が上手くいかなかったときに、女性から「ダメね」などと言われるとそれが「言葉の暴力」になって、勃起しなくなることがあります。それ以外にも、
- 結婚生活が上手くいっていない
- 経済的な心配事がある
- 仕事でストレスを感じている
- 疲れている
なども現実的要因です。
もう1つは深層的要因で、表面的な、あるいは自覚したストレスはなくても、子供のころに性的虐待を受けた、異常な性体験をしたなどの深層心理にあるトラウマが原因になる場合です。
原因2 50歳代に多い身体型ED
身体型EDは器質性EDとも呼ばれ、50代にさしかかって、動脈硬化の症状を持ちはじめると発症するEDです。
そもそも勃起は、勃起の指令を受けたペニスの海綿体につながる血管が拡張し、血流が増えることで起こりますが、動脈硬化の症状があるとこの血管が十分に拡張しなくなります。
すると、海綿体への血流が不足して勃起しなくなるのです。動脈硬化の原因は、
- 糖尿病
- 高血圧などの生活習慣病
- タバコや過度の飲酒の悪い生活習慣
などですが、さらには
- 脳出血などの脳神経の病気
- 海面体につながる血管や神経が手術やケガで傷ついた場合
もEDになります。
原因3 50歳代、60歳代に多い混合型ED
身体型と精神型の両方の要因を持っていると、EDになる確率はさらに上がります。それぞれはさほど重くはなくても、複合すると勃起しなくなるのです。
原因4 薬由来型ED
ある種の薬の副作用はEDをもたらします。
具体的には
- 中枢神経に働きかける、解熱剤、消炎鎮痛剤、抗不安薬、抗うつ薬、睡眠薬など。
- 末梢神経に働きかける、筋弛緩薬、麻酔薬など。
- 循環器に働きかける、利尿剤、降圧剤、血管拡張剤など。
- 消化器に働きかける、消化性潰瘍治療薬など。
です。
性欲そのものがなくなる場合
男性の性欲は神経的には男性ホルモンにつかさどられています。代表的な男性ホルモンはテストステロンといい、精巣で作られ、「性欲」「性衝動」をコントロールします。
メカニズムとしては、異性を惹きつけるフェロモンを発生させ、興奮物質のドーパミンを分泌させ、骨盤神経に作用して勃起を起こします。
ほかにも、骨や筋肉の増強、脳の活性化など男性が活動維持に大きな働きをしています。
しかしながらこのテストステロンは30歳頃から減り始め、60歳では40歳時点の25%減になってしまいます。このように加齢によって、性欲が減退するのです。
一方でそれをカバーするために間脳、下垂体が性腺刺激ホルモンを必死に分泌しようとします。しかし精巣そのものが衰えているので、テストステロンは増えません。
すると間脳は暴走し、感情や自律神経をコントロールする脳の部分にも刺激を与えるので、自律神経も乱れてしまいます。
自律神経の乱れは、うつ症状、倦怠感、焦燥感などをもたらします。これが男性の更年期障害と言われるものです。
また性欲が減退する原因には、このような加齢によらないものもあります。
まず20~30代前半になる場合は、ストレス、疲労、運動不足、栄養不足によってテストステロンの分泌量が低下し、それによって性欲が減退するものです。
さらに30代後半~40代になると、若いころと同様にストレスなどで性欲が減退するほか、肥満によっても性欲の減退が起こります。内臓脂肪が増えると連動してテストステロン値が低くなりますので、肥満が性欲減退を起こすのです。
性欲減退を改善し精力増強する方法まとめ
それではED克服、精力アップを実現させるためにはどうしたらよいのでしょうか。その方法をご紹介します。
食べ物で改善する
先に書いたように勃起は海綿体への血流によって起こっている現象です。したがって、血流を改善させる食事をとることで、性欲減退の解消が期待できます。
血流を改善するためには3つの種類の食材を選びましょう。
- 1つは血流を直接的に改善するビタミンEが含まれているもの
- 2つめは身体を温めて全身の血行を促進するもの
- 3つめは海綿体につながる血管を拡張して血流を増やす働きのあるもの
です。
まずビタミンEが含まれている食材ですが、これは意外に多く、選ぶのに苦労しないでしょう。具体的には、以下の通りです。
- あんこうのきも、めんたいこ、すじこ、キャビア、いくら、うに、たらこなどの魚卵
- うなぎ、たい、ほたるいか、えび、あゆ、子持かれい、かに、いわし、はまちなどの魚介
- しそ、とうがらし、赤ピーマン、だいこん、かぼちゃ、かぶなどの野菜
- サウザンアイランドドレッシング、フレンチドレッシングなどのドレッシング
- アーモンド、オリーブのピクルスなどのおつまみ
次に身体を温める食材は以下のようなものです。
- 根菜(ごぼう、人参、れんこん、やまいも等)、ねぎ、玉ねぎ、しょうがなどの野菜
- もち米、豆類、醗酵食品(納豆、キムチなど)、鶏肉、スパイス類などの食材
- 赤ワイン
最後に血管を拡張させる食材ですが、これはシトルリン、アルギニンといった成分が入っているものです。具体的には、
- スイカ、メロン、ヘチマ、クコの実、トウガン(冬瓜)、ゴーヤ(苦瓜)、キュウリ、にんにくなどの野菜
- 鶏肉、仔牛肉、牛乳、海老、大豆、ナッツ類、レーズン、玄米、オートミール、ポップコーン、チョコレートなどの食材
です。
運動によって性欲を回復させる
運動も体力が回復するだけではなく、性欲増強に効果があります。それは1つはジョギングなどの有酸素運動、もう1つは筋トレです。
まずそもそも有酸素運動とは、しっかりと大きく息をしながら行う運動のことです。水泳、ジョギング、ウォーキングなどがそれです。
これを行うと、身体の中に酸素が十分に取り入れられ、それによって血行が促進し、結果、エネルギー消費の量が増え、代謝がよくなります。
食事のところでも説明したように、血行が良くなると海綿体への血流が増えますので勃起力が高まり、性欲が復活するのです。
さらに、また勃起のメカニズムの血管が拡張する点ですが、これは血管内に一酸化窒素という物質が分泌されることで起こります。有酸素運動はこの一酸化窒素の分泌量を増やす働きもあるのです。
つまり、より血管が拡張するわけですので、血流も増え、それによっても勃起力が高まります。
次に筋トレです。性欲をコントロールする物質は男性ホルモンのテストステロンですが、このテストステロンは同時に成長ホルモンとして、骨や筋肉を強く、大きくするうえでも働いています。
したがって、筋トレをして筋肉を損傷させると、その修復のためにテストステロンが大量に分泌され、筋肉の修復と同時に、性欲の改善にもつながるのです。
質のよい十分な睡眠をとる
睡眠不足、浅い睡眠などの質の悪い睡眠は、ストレスとしてEDの原因になると同時に、成長ホルモンのテストステロンは睡眠中に1番分泌されますので、その妨げにもなります。
したがって、質のよい十分な睡眠をとることで、EDの解消にも、性欲の改善にもつながります。
病院を受診する
以上の方法は、家にいながらにしてでき、かつ費用もかからないので取り組みやすいという反面、即効性は期待できません。
すぐに、そして確実に性欲減退を改善させたい場合は、1番よいのは病院を受診することです。
世の中にはED専門のクリニックもありますので、そういうところを直接受診してもよいですし、それに抵抗がある場合はまずは総合病院の内科を受診しましょう。
そこで医師が、精神型EDだと判断すれば心療内科や精神科を紹介してくれますし、生活習慣病が原因だと判断すれば、その治療ができる診療科を紹介してくれます。
あるいは、直接的にバイアグラなどのED治療薬を処方してくれる場合も、テストステロンを補充するホルモン治療をしてくれる場合もあるでしょう。
いずれにしても医師と相談しながら、即効性のある治療法を受けることができます。
精力剤、サプリメント
また、病院へ行くのに気が進まない場合は、自分で精力剤や精力系、強精系のサプリメントを飲む方法もあります。これらは病院ほどは即効性はありませんが、食事療法や運動などよりは早く効果が期待できます。
世の中には精力剤もたくさんありますが、基本的には先ほど説明した、海綿体への血管を拡張させる成分のシトルリンとアルギニンの含有量が多いものを選びましょう。
あるいは、精子そのものを増やすために精子の原料である亜鉛が豊富に含まれているサプリメントでもよいでしょう。
たとえば1つ例に挙げると、牡蠣のエキスだけで作られている「海乳EX」というサプリメントには、非常に豊富に亜鉛が含まれています。ほかにも性欲減退の原因である生活習慣病を予防する成分としてのタウリン、自律神経を整えるヨウ素なども含まれていますので、効果が期待できます。
まとめ
いかがでしたか。
性欲の減退はEDによるものにしても、加齢などによるものにしても、現代では色々な方法で改善できます。ですので、年だからしょうがないとか、自分で認めるのが恥ずかしいなどと思わずに、以上で挙げたような治療法で対処しましょう。
そして、男の自信と誇りを取り戻してください。