最近は会社、職場の飲み会や宴会なども減る傾向にありますが、それは若者たちの間で「飲み会に行きたくない」という風潮が広がっているためと思われます。
しかし飲み会には欠点もありますが、社内のコミュニケーションがよくなることでいろいろなメリットも出てきます。また上司たちが積極的に開きたがる場合も、さらには強制参加の飲み会の場合もあります。
そのような時に、飲み会が苦手な、特に若い社員たちをフォローしてあげることは先輩として、あるいは幹事として大切な役割になります。
それにどんなメリットが?と思われるかもしれませんが、それについては本文を読んでいただくとして、ここではそのような飲み会を苦手とする人たちをどのように飲み会中にフォローするのか、といったことについてご紹介します。
この記事の目次
事前に参加の仕方についてレクチャーしておく
飲み会が苦手な人たちの大半は、コミュ障とまではいかないまでも、人見知りだったり、人と談笑したり、盛り上がったりすることが苦手だったりする人たちです。また飲み会での振舞い方がよくわからないという部分もあります。
ですので、そのような人が飲み会に参加する前に、当日はどのようにすれば居心地が悪くならないのか、という点についてレクチャーしておきましょう。
飲み会に参加するうえでの心構えを伝えておく
特に若い社員たちは個人主義的な意識が強く、また仕事の幅も狭いため、飲み会のメリットが分かっていない場合が多いものです。そのため、まずはなぜ飲み会が必要なのか、それは自分にどのようなメリットがあるのか、したがってどのような心構えで参加するべきなのかを伝えましょう。それはたとえば以下のような内容です。
若い社員が仕事ができるようになるためには、自分で勉強することも重要ですが、先輩や上司に仕事内容を教わる必要があります。その時に、自分が嫌っている人に親切に教えるようなお人よしは少ないですから、ちゃんと教えてもらえるようにするためには上司、先輩と良好な人間関係を築いておくことが大前提になります。若い社員が飲み会に参加する最大の目的とメリットはそこにあります。
また仕事を任されるようになれば、部署内、チーム内、あるいは他部署にもまたがって、誰かに何かを依頼したり協力を仰ぐことが必要な場面も出てきます。そのような時に、個人的に親しくなっておけば、相手も快く受けてくれますし、何より依頼するこちら側にストレスがありません。
そのようなメリットがあるからこそ、飲み会に参加する意義があり、また参加する中で人からよい印象を得る必要があるのです。
飲み会のマナーを事前に教える
そのような意義で飲み会に参加するうえでは、上司や先輩にかわいがられるようになるためのマナーがあります。
しかし今の若い社員たちはマニュアル世代ですから、事前にこのような場面ではこう振舞え、ということを細かく教えておく必要があります。それさえあれば、彼ら彼女らも、うまく立ち居振る舞いをすることができるはずです。
それはたとえば以下のようなマナーです。
まず1つは座る席です。どこでも好きなところに座っていい、という会社もありますが、中には厳然とした席次が存在する場合もあるので、しっかり教えておきましょう。具体的には、
- 奥の席や上座には上司が座る
- 若い社員は出入り口側か下座に座る
です。
2つめは、席を移動するときには座布団を踏まないことです。
飲み会が盛り上がってくると、車座になったり席を移動して挨拶したりするようになりますが、その移動の際には座布団を踏まないように注意しておきましょう。
3つめは、周囲の人に気配りをすることです。
たとえば大皿で料理が来たら、率先して銘々皿に取り分けてるなどは、男女平等ではありますが、特に女性の若手社員の場合は、これができると評価が上がります。
また、その作業をしているときには、会話に入らなくてもいいので、手持無沙汰な思いをしないで済みます。さらには、寒がっている人、暑がっている人がいないか室内の温度にも気を配らせましょう。
4つめは、飲み会でもかなり重要な要素である、お酒の飲み方や注ぎ方です。
最低限、知っておくべきマナーは、上司のグラスが空になっていないか常に気を配り、空いていたら別の飲み物を頼むのか聞いて、同じものを注ぐか別のものを店員に注文することです。
またビールを上司に注ぐ機会も増えますので、その際にはビールの瓶を両手で持つこともポイントです。
5つめは、会話の盛り上げ方です。
基本的には上司や先輩の話を聞く場面のほうが多いでしょうが、中には自分のことを話すときもあります。その時に自分の話ばかりしないで、ある程度話したら、その後で「~さんはどう思います?」という感じで、人に振るようにさせましょう。
そうすれば話も盛り上がりますし、気配りできる若手だという評価ももらえます。この辺は学生時代に合コン慣れしている社員であればできるでしょうが、コミュ障気味であればぜひ意識をさせましょう。
また、上司や先輩が上機嫌で話している時には、感心したりほめたりさせてください。相手が社長でも部長でも、部下や後輩からほめられることはうれしいものです。
このあたりは若い社員には苦手な分野でしょうが、大げさではなくてもいいので、「すごいですね」「すばらしい」くらいは相づちが打てるようにさせましょう。
飲み会の意義を認めない人が聞けば、以上のようなことはおべんちゃらで、会社で仕事をする上では何の意味もない、ということでしょうが、しかし仕事をうまく進め、自分が成長するためには重要なポイントなのです。
最近はこのような内容をマンツーマンで教えるのではなく、新人研修で行う会社もあるくらいです。
飲み会が始まったら、常に観察してフォローする
このように事前にレクチャーしても、実際の飲み会になるとずれたことをしていたり、雰囲気が読めなかったり、あるいは誰ともコミュニケーションをとれずにポツンとしていたりする場合も出てきます。
それを体験してしまうとますます飲み会が苦手になってしまうので、できるだけ彼ら彼女らの様子を注意して観察し、必要であればすぐフォローしましょう。具体的には以下のようなことがポイントです。
話しやすい話題を振ってあげる
話すのが苦手な社員の場合は、「~君はどう思うの?」「~君もそのスポーツしてたんだよね」など適宜話を振りましょう。そのためには事前にその社員の得意な話題、出身地、出身学校、クラブなどを把握しておいた方がよいでしょう。
ただし、注意点は、盛り上げるためにその社員に突っ込んだりからかったりというような「いじり」をやりすぎると、特にその社員がコミュ障気味の場合は対応できなくなってしまうのでほどほどにしておくことと、「こいつ~なんですよ」というように周りの人間に向かってその社員のことを冗談でけなすようなこともやめましょう。
それが「愛情のあるけなし」であっても、本人にとってはそう受け止められず、みんなの前で恥をかかされたと思ってしまう場合もあります。
気さくに話してくれる人の隣に座らせる
また、一人ぼっちにさせないために常に自分の近くにいさせるというのは、なるべく幅広く人脈を作らせる目的に反しますので、できるだけいろいろな人と話をさせましょう。
ただ、そつなく談笑できるわけではないのでできるだけ、目下に対しても気さくに話しかけてくれるような性格の人の隣に席をセッティングするなど、環境づくりが必要です。
自分と他部署、他チームの人が話している時に呼ぶ
また、自分がほかの上司や同僚と話していて、若手社員が話せるような内容だったり共通点がある話になったりした場合、あるいはその上司や同僚と親しくなっておいた方がよいと判断した場合は、若手社員を呼び寄せて話に加わらせることも重要です。
常に観察しておく
先にも書きましたが以上のようなフォローをするためには、常にその若手社員がどこにいてどういう状況かということを見ておくことが必要です。
特に、雰囲気がおかしそうだったり、あるいは特に女性社員の場合、上司、先輩はコミュニケーションのつもりで結果的にはセクハラ、パワハラ的な発言や振る舞いをしていることもありますので、そういう時にはそこから救い出さなければなりません。
ですので、自分が飲み会を楽しむことも重要ですが、視界の隅には常にその社員を入れておきましょう。
そこまでフォローするメリットが自分にあるの?
ここまで読んで、こんな面倒なことをなぜ自分がしなければならないのか、という疑問を持った方もいるかもしれません。しかしこれは結局は自分のためでああり、自分に返ってくることなのです。それは以下のようなことです。
その若手社員から信頼される
まずそのように飲み会で居場所があるように配慮してあげることで、その若手社員に感謝され、信頼を得ることができます。
別にビジネスマンは人気商売ではないので、それ自体が目的ではなく、信頼を得れば今後その社員はこちらのいうことを素直に聞いてくれ、あるいは相談などもしてくるようになり、指導がしやすくなります。
また、その社員からほかの若手社員に話が伝わって、ほかの部署の若手からも相談を受けたりするようになれば、会社全体のリアルな情報なども入ってくるようになります。
後輩、部下の仕事が広がれば自分が楽になる
さらにその社員が社内、部署内、チーム内で人間関係を作れるようになれば、仕事を任せることもできるので、結果的には自分の仕事が楽になります。
自分のマネジメント力を磨くことにもなる
さらには、このような配慮をするということは、仕事の中で若手社員を育成したり、指導したり、管理したりする場合と基本的に共通するスキルなので、自分の仕事上のマネジメント力を磨くことにもなります。
それは管理職などマネジメントをする立場になった時に必ず役に立ちます。
良い会社になる。自分も居心地がよくなる。業績が上がる。
そして究極はこのようなことをすれば、会社、部署、チームの仲間意識が醸成され、雰囲気がよくなるので、自分も仕事がしやすくなることです。
それはほかの社員にとっても同じなので、会社、部署、チームのパフォーマンスレベルが向上し、業績アップにつながります。それが最大のメリットでしょう。
このように、たかが飲み会ではありますが、飲み会が苦手な人をフォローすることで、いろいろな良い波及効果があるのです。
まとめ
いかがですか。
これだけのことを準備し、行えば、飲み会が苦手な人でも大きなトラブルなくその時間を過ごすことができ、うまくすれば飲み会が好きになるかもしれません。そうなれば、その社員の成長にもつながるので、ぜひ以上を実践してみてください。